ビジネスのデジタル化によるインサイドセールスの浸透、そして長期化する新型コロナウイルスの影響ー。従来の営業スタイルが大きく変化している現在、「非対面営業」ツールとしてのSNS活用を改めて模索する動きも出てきています。そこで今回は、営業職のSNS活用法についてリサーチ。SNSだからこそできるスムーズな関係構築のコツやトラブル回避策などを、3人の「営業女子」に聞きました。

SNSを仕事で使いこなす営業女子たち

転職エージェント MAP アドバイザー 清水 彩加さん

「個性あふれるマイペースアカウント」

転職エージェント MAP アドバイザー 清水 彩加さん

外資系アパレル企業で副店長としてマネジメントと人材育成を経験した後、人材業界へ転身。神戸出身の1Dファン。モットーは迷ったらトキメク方へ、好きな言葉はLiveYour Life。

ファーストキャリア構築支援事業 WORX  営業アシスタント兼広報 相葉 まどかさん

「かまってくれるとよろこぶアカウント」

ファーストキャリア構築支援事業 WORX 営業アシスタント兼広報 相葉 まどかさん

商業施設の受付担当から、さらなる成長を目指して人材業界へ。キャリアアドバイザー職を経てWORX事業部へ異動。ダイエット中でもお菓子類はデスクに常備。

日本若者転職支援センター アドバイザー 井崎 麻結さん

「エモいキャリアアドバイザーアカウント」

日本若者転職支援センター アドバイザー 井崎 麻結さん

文系大学院卒、アニメ系専門学校で教務事務として勤務した後1年放浪し、現職。声優オタク⇒アイドルオタク⇒フェス通い⇒クラブでパリピ⇒戸惑いながらジャニーズにハマる(今ここ)。

コロナ禍に新たな営業スタイルを模索して

ー営業活用のためのSNSアカウント運用を開始した時期と、開設のきっかけについて教えてください。

清水:私は転職エージェントMAPのリクルーティングアドバイザーとして、主に企業の人材採用支援をしているんですが、以前社内で他部署の者が

電話でアポ取りするよりも、SNS経由で経営者層と直につながった方が営業効率がいい

と自慢げに話していたんです。4月の緊急事態宣言で対面営業ができなくなったときにその言葉を思い出して、自分もチャレンジしてみようと考えたのがきっかけです。

清水さんのテーマは「個性あふれるマイペースアカウント」


清水:SNSの中でもTwitterを選んだのは、ビジネス系アカウントがアクティブに動いているイメージがあったから。人事担当者と直接つながれるチャンスがあるのではと思い、運用を開始しました。

相葉:私も同じく、Twitterを始めたのは事業部の営業活動がままならなくなった今年の4月ですね。元々は営業アシスタントとしての事務処理などが主な業務だったのですが、広報的な役割の他、営業や採用にもつなげられるよう能動的に仕事がしたい、事業部に貢献したいと考えたのがきっかけです。

相葉さんのテーマは「かまってくれるとよろこぶアカウント」


井崎:私は2人より開始時期は少し遅くて。世間が徐々に通常モードに戻りつつあった6月末頃に同じくTwitterを始めました。

井崎さんのテーマは「エモいキャリアアドバイザーアカウント」


井崎:私は日本若者転職支援センターのキャリアアドバイザーとして、主に求職者の方の転職を支援しているのですが、清水さん同様、企業の採用担当の方と接する機会もあって。コロナ禍で企業の採用活動も、求職者の動きも鈍化している中、新たな集客チャネルを開拓する目的で始めました。

清水:訪問営業や対面でのキャリア相談が減った分、業務時間に若干の余裕ができたことも、SNSに着手しようと考えた理由のひとつですよね。

目的に応じて、アカウントの運用方法は変わる

清水:2人のアカウントは「フォロワーを増やして事業内容をPRしたい」という意向もあると思うんですが、私の目的はシンプルに見込み客開拓と新規アポの獲得。これまでテレアポメインだった新規営業をTwitterでも実施するようになりました。

清水:Twitterを営業活動で利用するメリットは、担当者とダイレクトにつながれる点。完全新規開拓の場合、代表番号に電話しても人事・採用担当者とは直接話せないことも多々あって、アポ獲得率は4%ほど。一方、Twitterを使ったアポ獲得率は14%とハッキリ差が出ました。ただ、アポ獲得のハードルが低い分、契約には至らず「情報交換」で終わるケースも多い印象です。

清水さんのアポ獲得率比較データ

相葉:確かに、電話や対面、SNSなどのオンラインツールでは、それぞれ反応が変わりますよね。

井崎:そうですね。対面営業の機会が減ったのは営業としてはマイナスですが、一方で物理的距離による営業ハードルは下がったと感じています。例えば、これまで取引のなかった地方企業もオンラインでの商談が可能になったり、地方在住求職者の方の支援も増えたり。

井崎:Twitterもロケーションに依存せず使えるツールなので、私は採用企業と求職者の方いずれとも接触機会を増やせるチャンスだと思っています。

相葉:私が所属しているWORX事業部は、IT人材を未経験から育成するプロジェクトなので、TwitterではSESやIT派遣関連企業の方と積極的にコミュニケーションを図っています。Twitterを介して知り合い、事業内容に興味を持っていただけた企業の方に、別途営業担当をご紹介するのがひとつの目標です。

相葉:あとは、単に私にかまってくれる人をTwitterで見つけたい、というのもあります(笑)

ーみなさんそれぞれの業務に応じてうまく活用できていますが、プライベートでもSNSを利用していますか?

清水:Twitter、Instagram、Facebookと、ひと通り使ってますよ。それぞれ用途が違って、Twitterは趣味に関するディープな情報収集用、Instagramではエリア情報などを広く浅くチェック、Faceboookは外国人の方や海外在住の友人との連絡やアルバム共有ツールとして主に使用しています。

相葉:私も以前開設したプライベートアカウントがありますが、そちらがバレて困るようなこともないので、厳密に使い分けてはいませんね。

井崎:私はその昔mixi沼で廃人化したことがあって(笑)。Twitterも以前ハマってしまい使用を中止した経緯があるので、このアカウントも過剰にのめりまないよう気を付けています。

営業女子のTwitter、運用ルールに王道なし!

ーTwitterを仕事で使う上で、投稿回数や接触時間、内容について「自分ルール」のようなものを決めて運用していますか?

清水:フォロワー獲得を目的にしていないこともあり、基本的に運用ルールは設けていません。ただ、DMやリプライを送るときに怪しいスパムアカウントだと思われたくはないので「生身の人間感」が出る程度にツイートすることを心掛けています。

清水:時間帯としては就寝前の23~0時と出勤時間の8~9時、あとは昼休憩時間がコアタイムだと考えています。これらの時間帯にアプローチするよう意識はしていますね。

相葉:私はフォロワーの方から親近感を持ってもらうために、日常的なつぶやきをすることも多くて、毎日起床時には「おはようツイート」をしています。その他のツイート内容はWORX所属メンバーの紹介や、サイト更新情報といった広報的な情報発信がメインですが、基本的にリプライにはすべて返信しますし、つながりのある人とは、些細なやりとりでも信頼関係を構築できるよう心掛けています。

時間帯としてはひとつ作業が終わった合間にタイムラインをチェックして、リプライを返したり、いいねしたり。他の業務に支障が出ないようにしてます。

井崎:廃人予備軍の私はつぶやき過多防止のため、1日2ツイート程度にセーブ。「量より質」をモットーに、140字パンパンに入れる、パッと見て情報が整理されていると判断できるよう改行位置を工夫するなど、反応が返ってきやすいツイートを投稿するようにしています。

今後はこのアカウントで自社の活動内容報告をするなど広報発信も検討しています。なので、当面はフォロワーを増やすことも目標に置いていて、気になるアカウントには「いいね」をつけて、アピールすることも忘れません。

清水:公式な使い方を目指してるなら、私がふざけた絡み方しに行かないほうがいいですね。

井崎:いや、真面目なツイートの中にふざけたものも混ぜているので、そこは大丈夫です!

相葉:私もふざけてばっかりだ…。

井崎:あとは投稿数が少ない分、ツイート直後は20分くらいリアルタイムで反応をチェックしています。

相葉:ひとつのツイートに込める力がすごい!

井崎:時間を置いて改めて確認して、エンゲージメント率が10%を切っていたら「今回のツイートはハズしたな」と判断しますね。

清水:おお~、アナリストですね。

井崎:分析するの、結構楽しいんですよ。狙い通りの反応が返ってきたらうれしいんですけど、ヘンなツイートが偶然伸びたりもするから、難しい。でも、攻略しがいもあります。

清水:それぞれ目的が違うので、運用ルールもバラバラですね。

相葉:最初からあまりガチガチにルールを決めつけないでゆるく考えるのも、楽しみながら続けられる秘訣かもしれません。

後編に続きます。

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