転職活動やキャリアについての悩みや疑問に、現役キャリアアドバイザーが答える「転職お悩み相談室」。今回は29歳・営業職の男性からのお悩み相談です。

ベンチャー企業勤務・男性(29歳)のお悩み

新卒で入社したベンチャー企業で勤務して7年。30歳を目前に控え、キャリアアップのために転職を意識するようになりました。

現職では無形商材の法人営業を中心に、新規事業や新拠点の立ち上げなどさまざまな業務を経験してきました。しかし、いまだに自分に身に着いたコアスキルが何なのかわからず…。キャリアに専門性や特徴的な強みがない上、ベンチャー出身であることも、転職活動でマイナスになるのではないかという不安があります。また、すでに転職した元同僚らから聞いた「転職で市場価値が最も高いのは27歳」説も気になっています。

転職するならギリギリでも20代が有利なのか。それとも、居心地のいい今の環境でさらなる経験を積むことを考えるべきか、悩んでも答えがなかなか出ません。

転職のプロによるアドバイス

1. ベンチャーでの経験は、転職活動にマイナスではない

ベンチャー企業で多くの経験を積んで来られたとのこと。大手企業出身の方と比較して、経歴が見劣りするといったことはほぼありませんのでご安心ください。むしろ、ベンチャーだからこその業務範囲の広さや多様さ、ゼネラリストとしての経験は、有効なアピールポイントになるでしょう。

逆に大手企業出身者が不利ということでもありません。採用担当者が見ているのは「どこで」仕事をしていたかよりも「何を」やってきたか。転職先でも発揮できる再現性のあるスキルをアピールすることが重要です。

2.「転職市場価値27歳最高説」は、ある意味真実

市場価値が最も高いといわれる27歳を過ぎた焦りがあるようですが、「27歳最高説」は、ある意味真実です。

27歳という年齢は、ビジネスパーソンとしての基礎力がついている一方で、前職の風土に染まり切っておらず、若さも伸びしろも残っている。つまりは「中途採用にちょうどいい」年齢なのです。業種、職種を変えて全く新しいことにチャレンジするなら、遅くとも20代のうちに転職するのが有利でしょう。

もちろん、同業種、同職種での転職を狙うなら、35歳くらいまでは十分にチャンスがあります。専門性の高いスキルがあればいくつになっても転職は可能ですが、年齢が上がると転職先の上長が年下であったり、これまでの経歴やプライドが邪魔して新しい環境に順応しづらいなど、また違った問題も生じます。

3. スキルの棚卸しには「壁打ち」が有効

これまでの経験や身についたスキルを整理するには、定量的な観点をもつことが必要です。新規事業や拠点立ち上げでは、ゼロからどのような結果を出したのか。そのために自分なりに工夫したプロセスはどんなものであったかを、論理的に説明できるように整理しましょう。

といっても、20代で自身のスキルを客観視し、職務経歴書に落とし込める方はごく稀です。多くの方は、相談者様と同様「自分の強みがわからない」とおっしゃいます。

経歴やスキルを整理し、転職活動を有利に進める材料を1人で組み立てるのはなかなか困難な作業です。客観的な意見をくれる人や、転職エージェントのアドバイザーを「壁打ち」の相手にして、広い視点からご自身のキャリアを見つめなおして下さい。

まだ転職への迷いがあるようですが、チャレンジしたい気持ちが強いなら、一度思い切って転職して外の世界を経験し、また元のベンチャー企業に「出戻り」する方法もあるのではないでしょうか。

終身雇用制が崩壊し、人材の流動化が激しくなっている今、キャリアの道筋はひとつではありません。人間、やった後悔よりやらなかった後悔が強く残るもの。今後のキャリアについて指標が定まっていないようにもお見受けするので、ぜひ一度相談にいらしてください。

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