新しいステージで、今よりもっとキャリアを積んで、スキルを身につけて…。

転職を考える時の多くは、未来の自分に期待が高まっている状態です。

しかし、もし夫や親など、家族から転職への反対があった場合…あなたなら、どうしますか?

転職へのワクワクする気持ち、新しい挑戦を否定されてしまったようで、ガッカリしてしまうかもしれません。

しかし、言い争いにせず、きちんと話し合いをすることが大切です。

アサーティブコミュニケーションというコミュニケーションを駆使して、家族との会話を進めてみましょう。

まずは、よくある家族の反対のケースを2つ、ご紹介します。

女性の転職〜転職を夫に反対されるケース〜

転職を夫に反対される、あるいは渋い顔をされるというのは一番多いケースではないでしょうか。

・結婚(出産)して環境が変わったばかりなのに、職場まで変わって大丈夫だろうか。
・妻が、家庭と仕事の両立ができるのだろうか。
・妻の年収が下がってしまうのではないか。
こういった懸念が、転職反対の理由の大半です。

何より、男性側には、環境が変わった妻を自分が支えていけるだろうかという気持ちがあります。

しかし、どの理由にも共通して根底にあるもの…それは、『不安の感情』です。

人は未知のもの・予測できないことには不安を感じ、悪いことを予測する本能が備わっています。

これは、最悪の事態が起こった時に肉体的・心理的ダメージを最小限に留めるための自然な感情です。

「新しい環境で何が起こるかわからない、今より劣悪な環境だったらどうしよう…」

このような気持ちから、反対とまではいかなくても「慎重になれ」と助言するパートナーは多いのではないでしょうか。

また、それとは別に男性側が今の夫婦間の状況に満足しているということも理由の一つです。

しかし、夫が満足しているか・あなたが満足しているかは全く別の問題です。

男性側は「家事も収入も問題ない、家族との時間も確保できている」と、自分に関わる部分しか見えていない可能性があります。

パートナーが満足していても、働く本人であるあなたに他の希望があるなら、やはりそれは伝えるべきです。

最終的に、あなたが転職したい理由を、きちんと伝えて理解してもらうということが大切です。

 

では、その「伝え方」を知る前に…よくあるもう一つのケースも見てみましょう。

女性の転職〜転職を親に反対されるケース〜

今でこそ活発な転職市場。

しかし、一昔前の『転職』は、今のポジティブなイメージとは遠くかけ離れていました。

終身雇用制度が一般的だった親世代にとっての『転職』は、普通の人ならまず経験しないもの。

新卒入社した会社で、定年まで働くのが当たり前でした。

親世代には『転職』=会社に居られなくなった特別な理由がある人のもの、という認識もまだ根強く残っています。

それゆえ、特に20代前半の若い独身女性は、親に転職を反対されるということもあるようです。

これまで、学校・仕事含め、両親が期待する進路を歩んできたという方も多いのではないでしょうか?

もしくは転職の軸に『両親』があり、転職活動に家族の意見が大きく影響する等…

心当たりは、ありませんか?

親世代は、こんな風に考えているようです。

・転職をすることで、娘の職歴に傷がついてしまうのではないか
・まだ若いから、どんな道を進むのがベストかの判断ができていないのではないか

「転ばぬ先の杖」とばかりに、失敗を懸念するセンシティブな親心の表れでもあります。

しかし、ほんの数十年のうちにも、社会は大きく変わっています。

2019年の日本では、転職を経験しない人の方が珍しいくらいです。

別の時代を生きてきた親子間で価値観が多少異なるのはある意味当然とも言えます。

親子間でも、反対されたのならこの部分はきちんと話し合いましょう。

「でも、家族と本音で話すと、なんだか喧嘩になりそう…」

そんな心配もありますが、大丈夫です!

話し方を少し工夫すれば円満に進めることができます。

ではここから、転職を家族に反対された場合の、穏便な話し合い方を紹介していきます!

家族に転職を反対されたら、どうすればいい?

「やめておけば?」「今のままでいいじゃない」「うまくいくかわからないよ」

家族に転職を反対された時…。

言い返したくなる気持ちがあるかもしれませんが、「私の気持ちも知らないくせに!」と感情的になるのはNG。

まずは、「心配してくれてありがとう」と、相手の気持ちを受け止めます。

次に、「なぜ、転職に反対なのか」という理由を聞いてみましょう。

ぜひ身につけておきたい、アサーティブコミュニケーションに基づいた会話の流れです。

アサーティブコミュニケーションとは

「アサーティブ」とは、行動療法に起源をもつ「アサーティブネス(Assertiveness)」という単語が語源です。

意味は「自分と相手を同等に尊重しながらも、自身の意見や気持ちを適切に表現すること」

そこから派生して、アサーティブな会話方法が「アサーティブ・コミュニケーション」と呼ばれるようになりました。

アメリカの心理学者のウォルピは、人間の主張方法には三通りあると提唱しました。

「アグレッシブ」「ノンアサーティブ」「アサーティブ」です。

アグレッシブ(攻撃的)コミュニケーションの特徴
・自分のことだけを考える
・自分の主張がきちんとできる一方で、相手の気持ちや意見を無視する
・攻撃的な表現で自身の意思を全うする
・自分が一番であることにこだわる
・勝ち負けへの執着が強い
ノンアサーティブ(非主張)コミュニケーションの特徴
・自己主張が控えめ、もしくは苦手
・曖昧な表現が多い
・言い訳が口癖
・自分よりも相手を優先してしまう
・頼まれたら断れない
・相手に気を遣える反面、相手にも気を遣ってほしい・気持ちを汲んで欲しいと考える

家族間では気持ちの距離が近い分、反対された時にアグレッシブなコミュニケーションになりがちです。

しかし、これではうまくいきません。

ここで必要になるのが、アサーティブコミュニケーション。どんな特徴があるのでしょうか。

アサーティブコミュニケーションの特徴
・場に沿った適切な表現を選択できる
・相手の気持ちや意見を受け止められる
・自分の気持ちや意見をはっきりと主張できる
・相手と意見が対立しても、お互いが納得できる結論を導くことができる

例えば、「場に沿った適切な表現の選択」。先ほどの図のセリフを、適切なものに置き換えてみます。

アサーティブコミュニケーションの根底にあるものは、自分も相手も同等に大切にし、お互いの主張を重んじるということ。

これをベースに言葉を選べば、論理的で落ち着いた、平和的な話し合いが望めます。

仮に相手側がアグレッシブな態度で反対してきても、自分はそれに乗らずにアサーティブコミュニケーションに誘導します。

アサーティブコミュニケーションのコツは3つ。

①相手の話をしっかり聞く
②「でも」「だって」という言葉は使わず、言い返さない
③否定をしない

アサーティブコミュニケーションでの会話により、相手は「自分の意見も尊重されているんだ」と感じ、冷静に話を聞いてくれるためこちらの意図が正確に伝わり安く、場合によっては否定の意見を譲歩してくれるかもしれません。

また、話がこじれたり相手を怒らせてしまったりという二次的なトラブルにも繋がりにくくなります。

このアサーティブコミュニケーションは、普段の職場での会話などにも有効です。

部下にアグレッシブな態度をとったり、上司にノンアサーティブになったりしていませんか?

上記を参考に、普段からの自分のコミュニケーションを見直してみるのも良いかもしれません。

まとめ:相手の意見もよく聞いて、ベストな答えを出そう

話し合ってお互い意見を出し合い、その上で両者が納得する落とし所を見つけましょう。

例えば、転職を完全に諦めるのではなく、転職先を見直す・時期を先送りにするということもできます。

今すぐではなくても、この先どういったタイミングで、どんな会社に転職するなら相手が納得してくれるのか。

そこを話し合ってみるのも良いですね。

どんな場合も、家族は頭ごなしに否定しているのではなく、あなたのことを心配するゆえの気持ちであることがほとんどです。

「私の人生なんだから好きにさせてよ!」と強く押し通すのではなく、相手の意見もきちんと聞きましょう。

家族は、生計を共にする社会で最も小さなコミュニティの単位です。

親しき仲にも礼儀ありで、アサーティブコミュニケーションで会話することをお勧めします。

 

自分と家族にとってベストなタイミング・転職先を考えて、ライフプランを計画しましょう。