ブライダル業界を辞めたい。ウエディングプランナーからの転職は難しい?
結婚式という人生の新たな門出に携わることから、華やかなイメージがあるブライダル業界。友人や同僚の感動的な結婚式に参列したことがきっかけで、ブライダル業界の仕事に憧れる方も多いのではないでしょうか。
結婚式は全体のプランニングから衣装や花、音響、照明、料理の細部に至るまで、多くのプロフェッショナルが携わっています。一生に一度しかない「かけがえのない空間」をつくり上げるブライダル業界の仕事は、大きなやりがいと達成感が得られます。
一方で、サービス業界特有のハードワークに陥りがちな側面もあり、ブライダル業界から異業種への転職を目指す人も少なくありません。
そこで今回は、ブライダル業界、特にウエディングプランナーやドレスコーディネーター、フラワーコーディネーターなどのプランナー職(以下「ウエディングプランナー」で統一表記)からの転職でおすすめの職種や、面接で注意したいポイントなどを、未経験職種への転職に詳しいキャリアアドバイザーが解説します。
ブライダル業界で培った経験を活かせる仕事への転職を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
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ブライダル業界を辞めたい!3つの理由
ブライダル業界を辞めて、全く未経験の業界や職種への転職を考えるきっかけは、人それぞれです。しかし大きく分類すると、以下の3点が要因となるケースが多いようです。
ブライダル市場の縮小
日本国内の婚姻件数は第1次ベビーブーム世代が成人となった後の1972年がピークで約110万件。第2次ベビーブーム世代が25歳前後となった1995年〜2000年に再び一時的に増加したものの、その後は減少傾向が続いています。2015年から2019年は約60万件で推移していましたが、コロナ禍の2020年以降は50万件台まで減少し、戦後最も少ない数字となりました。
同様に、国内ブライダル市場も縮小傾向にあります。人口減少や晩婚化による婚姻件数減少はもちろん、ドレスやタキシードを着用し記念撮影のみ行う「フォト婚」や、結婚式や披露宴を行わない「ナシ婚」など、ブライダルイベントの多様化も市場の縮小に影響を与えています。
ブライダル業界の将来性を不安に感じた人のみならず、コロナ禍の影響で会社の業績が悪化し、やむを得ず転職を決断したという声も聞かれます。
責任の大きさからくるプレッシャー
結婚式は新郎新婦にとって、大切なセレモニーです。一生の想い出に残る大イベントだけに、ウエディングプランナーの責任は重大。カップルやその家族からの期待や要望に応えるため、常にプレッシャーを感じながら業務を行うことになります。
1組のカップルとは準備段階から挙式、アフターフォローまで、半年以上の長期間に渡る付き合いになります。同時進行で複数の挙式を担当することから、場合によってはストレスフルな状況での勤務が続くことも少なくありません。
どんな仕事にも責任はつきまといますが、おめでたい席だからこそ失敗が決して許されないー。そんなプレッシャーは、ウエディングプランナー特有のものかもしれません。
不規則な働き方への不安
結婚式を準備する多くのカップルは、仕事を持った社会人です。そのため、挙式の打ち合わせは夜間や週末、祝日に行われることが多くなります。当然、担当プランナーにも夜間や祝日の対応業務が発生します。帰宅時間が遅くなる、友人や家族と予定が合わないといった悩みは、ブライダル業界で働く人たちによくある悩みのひとつです。
自身のライフステージに変化が生じやすい時期である30歳前後は、これからの働き方について特に深く考える時期です。仕事とプライベートのバランス調整が難しいブライダル業界で働き続けることに不安を覚え、転職を意識する人も多いのではないでしょうか。
その他にも、瞬時の状況判断が必要な仕事のため、強い緊張状態を強いられること、トレンドの移り変わりが激しい業界で最新の情報を収集しなければならないことへの疲れ、結婚式という限定的なイベントを扱うために長期的なキャリアパスが描きづらいことなど、ブライダル業界からの転職を意識する要因はさまざまです。
ブライダル業界を辞めたい!ウエディングプランナーからの転職は難しい?
若手転職市場、特に未経験職種への転職は、20代後半が最も有利な年齢だといわれています。
20代後半のうちに、ブライダル業界から異業種へ転職したい!でも、ウエディングプランナー以外の実務経験がなく、他の業界で通用するようなスキルも、特別な資格もない。そもそも、転職先にどんな仕事を選べばいいのかわからないー。そんな悩みをお持ちの方に、現役キャリアアドバイザーおすすめの転職先をお教えします。
ウエディングプランナー経験で身につくスキル
ブライダル業界で培ったスキルや経験は、他の業界では通用しにくい、転職は難しい、と考える方もいるようです。
確かにウエディングプランナーは結婚式という限定的な商材を扱う仕事です。その一方で、以下のように汎用性の高いスキルが自然と身につく仕事でもあります。
- 相手に深く踏み込む力(要望の深掘り、課題の本質を見抜く力)
- 多方面から物事を捉える柔軟性(あらゆる角度からの提案力)
- 責任感、リスクヘッジ能力(失敗回避のため、常に1歩、2歩先を想定する力)
- トレンドへの対応力(時代の変化を察知する力)
- マルチタスク処理能力(同時進行で複数案件に対応できる力)
いずれも転職活動においては「強み」となる特性であり、十分なアピール材料となります。転職先にはこれらのスキルが歓迎される、活かせるような仕事を検討してはいかがでしょうか。
ブライダル業界からの転職におすすめの仕事
1.キャリアアドバイザー
求職者に対して、転職成功に向けたサポート業務を行う仕事です。 具体的な業務は、求職者のヒアリング、求人の提案、職務経歴書の作成フォロー、面接対策、企業との面接調整など。また、入社日の調整や条件交渉まで、転職活動全般をサポートします。
「なぜ転職をしたいのか?」「こんな可能性もあるのではないか?」と、求職者の要望を深く聞き込んだ上で、数ある求人の中からベストな提案を行うことや、人生のターニングポイントに携わるという点でも、ブライダル業界と共通する部分が多く、経験が活かせる仕事です。
また、30代、40代と長く活躍できる点もキャリアアドバイザーの仕事を選択する大きなメリット。キャリアアドバイザー経験を積んだのちに事業会社の人事・採用担当へキャリアチェンジする例も少なくなく、将来の選択肢が広がる仕事でもあります。
2.カウンターセールス
内勤営業、カウンター営業とも呼ばれ、主に店舗内での営業を担当するポジションです。金融機関のほか、保険、不動産、自動車、旅行などの業種での募集が多く見られます。
業務内容は文字通り、カウンター越しに顧客と接する営業活動。商品の説明から契約締結、アフターフォローなどを担当します。
カウンターセールスは営業職として数字達成意識の高さはもちろん、コミュニケーション力も求められる仕事です。ウエディングプランナーの仕事で培ったスキルが存分に活かせる仕事といえるでしょう。
3.法人営業
ウエディングプランナーのように一般消費者を対象にする「個人営業」に対し、企業をターゲットに営業活動を行う営業職を「法人営業」と呼びます。法人営業で扱う商材はさまざまで、広告や人材関連、ITサービスなどを扱う「無形営業」、商品や不動産を扱う「有形営業」に分類されます。
高度な営業力が必要な法人営業は、即戦力が求められるため、未経験者可の募集は多くはありません。しかし、ブライダル業界出身者のスキルを高く評価する企業も存在します。数字目標を持ち、決して安い買い物ではない「結婚式」という高単価商材を提案していたウエディングプランナー経験者がチャレンジできる、おすすめの転職先といえるでしょう。
個人のニーズに応えることが重要な個人営業と、合理的な説明や契約交渉力が必要な法人営業の両方を経験することで、幅広いセールススキルが身につきます。
その他、経験業務によってはイベント会社のディレクションや、SNSマーケティングなどでも活躍できる可能性があります。いずれの場合もウエディングプランナー時代に培った企画力や提案力、そして営業力を活かせる仕事への転職がおすすめです。
ブライダル業界経験者がアピールしたい3つのポイント
ブライダル業界経験者は、マナーのよさやホスピタリティ力、コミュニケーション力の高さに定評があります。一方で「ブライダル経験者なら、コミュニケーション力があって当然」とも捉えられがち。採用面接の場でアピールするには、少々弱い材料であることは否めません。これまでの実績を面接で強くアピールするならば、以下の3つのポイントを意識しましょう。
営業職としての実績
「売上目標に対して120%達成を10ヵ月間継続した」「所属拠点の売上記録を更新した」など、数字意識を持って取り組んでいた姿勢が伝わる実績を、具体的な数字でアピールしましょう。その際、目標達成のためにどのような施策を実行したかも合わせて伝えてください。説明の際はビジネス観点を持ってロジカルに、分かりやすく表現することも重要です。
意向を正しく汲み取る力
相手の真の意向を汲み取る力は、どんな仕事でも必要なスキルです。「お客様の要望に対し『できる/できない』で回答するのではなく、さらに深堀りすることでお客様自身では気が付かなかった最善の選択を導き出した」といった、パーソナルな提案が求められるウエディングプランナーならではの経験を、エピソードを例に出して説明できると強いアピールポイントとなります。
チームでの推進力や協調性
「各プロフェッショナルと積極的に連携を取り、お客様の要望に応えるため諦めず、考え抜いた」、「結婚式当日まで起こり得る細かな変更に対して、関係各所と認識一致を怠らず滞りなく業務遂行を行った」など、他者を巻き込んで業務を推進した経験を、具体的なエピソードを例に出して説明しましょう。推進力や協調性の高さによって達成した数字目標などがあれば、あわせて伝えるとなおよいでしょう。
ブライダル業界経験を活かして転職するなら
今回は、ウエディングプランナー経験を活かした転職ポイントについてお伝えしました。ブライダル業界でしか働いたことがなく、転職活動に不安を感じている方はぜひ参考にして下さい。
転職はしたいけれど、一人で考えていてもなかなか考えがまとまらない、書類作成や面接に苦手意識があるー。そんな方は、ブライダル業界他、サービス職からの異業種転職に特化したエージェントの利用をおすすめします。自分自身では気付けなかった強みや、キャリアの可能性を発見できるかもしれません。
記事監修
MAPウーマンキャリア 田ノ下 未祐
東京都出身。新卒時から都内のレストランにてウエディングプランナーとして従事。「人の役に立ちたい」という考えを軸に、結婚同様、大きなライフイベントである転職に携わるキャリアアドバイザーに転身。
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