コロナ不況の転職活動に「疲れちゃった」女性たちへ
コロナ禍によって誰も予想しなかった事態になってしまった2020年。現在の女性転職市場の動向と今後の見通しについて、女性専用転職エージェント・MAPウーマンキャリアの菊池華恵さんに聞きました。今の仕事やこれからのキャリアを考えることに、少し疲れてしまった女性たちへのメッセージです。
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コロナ禍で女性転職市場は激動
昨年末「女性アドバイザー座談会」で2020年の女性転職動向についてお話ししました。
この時はもちろん、今の状況になることを誰も想像してはいませんでした。人材業界に入って8年になりますが、採用市場がこれほど大きく変化するのは初めての経験で、正直、戸惑いもあります。
現在は主にオンラインで求職者様からの転職相談を受けています。最近は特に30歳前後の方から「逃げの転職」ではない「攻めの転職」のご相談が増加した印象。新卒で入社した現職から、新たなチャレンジを模索したいという声が多く寄せられています。
外出自粛や在宅勤務によってひとりで過ごす時間が増えた影響でしょうか、今後のキャリアについて改めて考え直したという女性からのご相談が目立ちます。また、会社の業績悪化による解雇通達を受けての転職相談もあり、たった数か月で事態が急変したことを実感する毎日です。
転職を検討する理由はそれぞれ違っても、お話ししているうちにみなさんおっしゃるのが
「なんか、疲れちゃった」
という本音。
これまでバリバリ仕事をしてきたキャリア志向の方でも、業務縮小や在宅勤務で時間に余裕ができ、自分のキャリアはこのままでいいのだろうか…と考え、悩む。一種の「燃え尽き」状態になってしまっている方が多いのです。
一般的な転職エージェントではなく、女性専用サービスであるMAPウーマンキャリアを選ばれるのも、そんな不安が関係しているのかもしれません。私自身、落ち着かない日々を過ごしたので、みなさんのお気持ちは本当によくわかります。
コロナ以降、企業の採用動向は二極化
急速に変化したのは企業側も同様です。
若手人材の転職はしばらく「売り手市場」が続いており、職種未経験者でも積極採用していました。しかしコロナ以降は採用ハードルが軒並み上がり、各社即戦力採用にシフト。例えば、去年までは募集要項に「法人営業経験3年以上」をあげていた企業が、プラス経験商材まで指定するようになり、書類選考通過が難しくなるといったケースが増えています。
中途採用自体を中止している企業も多い中で、IT(SaaS系サービス)、WEB関連企業は、引き続き採用を強化しています。また、景気の影響を受けにくい医療や建材・資材メーカーについても同様です。
業界や企業によって、採用動向が二極化しているのが現状です。
コロナの影響は、ネガティブ要素ばかりではない
このタイミングで転職活動をしている人にとっては厳しい状況が続きますが、ネガティブ要素ばかりではありません。
働き方改革関連法案施行後も具体的な施策を打てずにいた企業が、WEB面談や在宅勤務を導入し、急速に定着しているのがよい例でしょう。
一次面談をオンラインで実施する企業はこれまでにもありましたが、現在は最終面接までオンラインで行い、内定を出し、入社後研修が始まっても出社ナシで在宅勤務、というケースまで出てきています。
これは求職者、企業側双方にとって大きなメリット。現職が在宅勤務に切り変わったことで、転職活動のスケジュール管理が容易になったという方も多くいらっしゃいます。
オンラインで採用した社員のカルチャーフィットや定着率などから判断して、対面採用と大きな差異がないと判断できれば、効率のよいオンライン採用活動はこのまま定着するでしょう。業務をフルリモート化して首都圏のオフィスを引き払う企業も出てきており、今後は地方在住者が応募可能な求人案件が増加する可能性もあります。
また、古い体質の企業にありがちな「長時間会社にいることが美徳」といった価値観もさすがに変化し、労働時間ではなく生産性や成果で評価する風潮も高まるはず。そうすれば、結婚・出産などのライフイベントを経ても、自身のステージに合った働き方を選択しながらキャリアを継続できるようになるでしょう。
私たちの働き方や仕事選びは、このピンチをきっかけに、よい方向へと変わるかもしれない。そう考えると、ちょっとワクワクしませんか。
コロナ禍の転職活動「なんか、疲れちゃった」女性たちへ
コロナの影響は未だ終わりが見えない状態ですが、日本が根本的な人手不足であることに変わりありません。よって、若手転職市場は近い将来必ず活性化するはずです。ただ、未経験者歓迎求人数の回復には相当の期間を要するかもしれません。
この不安定な状況の中、一時の感情だけで転職するのはとても危険です。もしも「なんか、疲れちゃった」状態で転職を模索しているのなら、まずは今いる場所で実績を作ることに注力して下さい。特に大幅なキャリアチェンジを考えている方は、転職活動でアピールできるような実績が必要です。
「実績」というと定量的な視点で考えがちですが、例えば業務改善や効率化であったり、自らが主体的に動いて周囲を巻き込んだ経験、PDCAサイクルを回して上げた効果など、バックオフィス系のポジションでも実績は作れます。その経験は次の転職で必ず強い武器になりますから、まずは目の前の仕事に全力かつ戦略的に取り組むことを強くおすすめします。
とはいえ、1人で今後のキャリアについて悶々と考え続けるのは、精神的にかなりハード。どうにも落ち着かないこんな時だからこそ、転職エージェントのキャリア相談などをうまく活用して、納得のいく選択をして欲しいですね。
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