エンジニアという職種の歴史は非常に古く、中世に遡ります。

名前はラテン語の「ingenium」が語源で、直訳すると「エンジンを取り扱う人」。

昔は、動力である水車を修理する人をエンジニアと呼んでいました。

現在では「エンジニア」は技術者全体のことを指す言葉として浸透しています。

さて、現代では様々なシーンで多くの人がエンジニアとして活躍しており、その種類も細分化されていますが、大きくは3つに分けられます。

機械エンジニア、電気電子系エンジニア、ITエンジニアです。

前者2つは学生時代から専門的な知識を身につけ、エンジニアになる方が比較的多数です。

後者のITエンジニアは、文字通りITの技術者です。

こちらも専門的な知識が必要なものの、現在は未経験からエンジニアになる人が急増しています。

近年私たちの生活が急激にデジタル化したことから、ITエンジニアは深刻な人手不足に陥っています。そのため、企業が未経験者を採用し入社後の研修でエンジニアに育成したり、未経験者のためのエンジニアスクールが年々増加しているなどの背景があるのです。

今回はこの「ITエンジニア」の働き方にフォーカスします。

未経験からでも本当にチャレンジができるの?自分に合った働き方は?

早速、詳しく見ていきましょう。

【ITエンジニアの働き方】①SEなどの「会社員」

SEとして働く

SEとはSystem Engineerの略です。SEは企業に所属し、社内または社外(クライアント)の各種ITシステムの開発・構築に際してヒアリングを行い、要望に最適なシステム等を開発します。

上記の通り、SEには「社内SE」「社外SE」の2種があり、現場で開発を行うとともに、必要な人員や予算などを割り出し、納期に合わせてプロジェクトの管理を行います。

SEとして働く大きなメリットとしては、マネジメントスキル・コミュニケーションスキルなどを磨けること、そして複雑な案件を担当し、技術を磨けることです。

SEはプロジェクトの指揮をとるポジションとなるため、納期や人員の采配、プログラマーへの指示出しなど、全体を広く見るマネジメント視点が養われます。

さらには依頼者の要望をヒアリングしたり、部下(プログラマー)たちの声を聞いたりと、コミュニケーションスキルも磨けるポジションです。年収は、30代のSEでは約560万円が平均値と言われています。

技術と同時に多様なスキルも身につけられるので、フリーランスを目指す人には独立への大きな一歩になると言っても過言ではないでしょう。

しかし、SEとして働く上での、デメリットもあります。

依頼者からダイレクトに要望が飛んでくるため、後述するSESエンジニアとは異なり業務過多になりやすく、体力に自信がない方には不安材料になります。

また、プログラマーが開発の「下流工程」を担当する一方で、SEは「上流工程」と呼ばれる領域を担当します。

上流工程は、要求分析・要件定義・基本設計・詳細設計などで構成される、開発の中でも基盤になる部分です。

この基盤の工程に失敗すると、開発そのものの失敗につながるため責任が大きく、過大なプレッシャーを伴います。

成長できる反面、体力勝負な部分もあるので、まずは自己分析の元、SEへの適性があるかをよく考えてみましょう。

【ITエンジニアの働き方】②SESなどの「業務請負」

エンジニアには「業務請負」という働き方もあります。

代表的なものがSESです。

SESエンジニアとして働く

SESとはSystem Engineering Serviceの略で、クライアント企業の元へ常駐し働くサービスを指し、従事するエンジニアを「SESエンジニア」といいます。

冒頭で述べたように、ITエンジニアは慢性的な人手不足のため、未経験者でも正社員採用しているSES企業も多く、間口が広いのが特徴です。

「未経験からエンジニアを目指す」場合、まずはSES企業の社員からキャリアをスタートさせるという形が比較的ポピュラーです。

SESは「派遣」のイメージが強いですが、SES契約は準委任契約であり、労働法規では「業務請負」の一種とされています。

業務請負は労務管理・指揮命令などがクライアントから独立している必要があり、この点がクライアントの指示で働く派遣契約との大きな違いになっています。

賃金は技術者の労働力に対して支払われ、システムの完成は支払い要件には含まれません。

SESの大きなメリットは、未経験から挑戦できることの他に、多様なクライアント先で様々な経験を積めることです。

頻繁な環境の変化が伴う働き方でもありますが、大きな案件に携わるチャンスも多くあり、変化を楽しんで受け入れられる人には最適です。

色々な経験を積みどんどん知識を吸収し、技術の幅を広げていくことができるため、成長志向が強い人向けの働き方といえるでしょう。

他にも、前述の通りSESではクライアントが指示出しをするわけではないため現場での突発的な残業が起こりにくいという、プライベートとの両立をしたい方に嬉しいメリットもあります。

しかし、クライアントが「派遣規約」と混同してしまっていると、現場で指示出しをしてしまったり、システム完成を求められたりという問題が起こるケースもあります。

逆に現場で指示出しがなかったとしても、そもそも残業が発生しにくいので給与もその分少ないという側面もあり、年収相場としては平均的に250万円〜300万円と、通常のシステムエンジニアに比較するとやや低めです。

また、案件ごとに常駐先が変更になるので、頻繁に環境が変わることがストレスになる人にはこの点がネックにもなります。

まずはクライアント企業がしっかりとSESについて理解をしているかを見極め、改善希望点がある場合は所属するSES企業に相談してみるのが良いでしょう。

【ITエンジニアの働き方】③自由で裁量のある「フリーランス」

最後は「フリーランス=個人事業主」という働き方です。

ここ数年、ワーケーションや副業などの自由な働き方に関する言葉が浸透し、フリーランスという働き方も注目されるようになりました。

フリーランスの良いところは、なんと言っても自由度が高いところ。

企業に所属するエンジニアとは異なり、納期さえ厳守できれば、ある程度自分の裁量で働くペースを決めることができます。

また、働き方だけでなく給与も自らクライアントに交渉ができます。

もちろん相場はあるものの、同じ開発でも納期を早めるなど一定の条件をつけてアップセルをすることも可能です。

そのため場合によってはSEやSESエンジニアよりもはるかに高収入を狙えることも少なくありません。

一方で、フリーランスはさまざまな保障が少ないというデメリットもあります。

これはエンジニアに限らず、フリーランス全般に言えることですが、一般的に会社員が入る各種社会保険はもちろんボーナスや退職金もありません。

それだけではありません。

問題なく順風満帆に業務ができている時は良いのですが、万が一体調を崩し、長期的に仕事ができない場合、クライアントが別のエンジニアに依頼するという可能性もあります。

組織に所属するエンジニアならチーム内で代打を立ててカバーすることもできますが、フリーランスの場合はそうもいきません。

フリーランスは「いかに仕事を取れるか」が自分の収入に直結するため、こういった難しさがあります。

自由度が高い一方で、人によってはリスクとも取れる部分も大きく、上級者向けの働き方とも言えます。

エンジニアとしてフリーランスの道を選ぶ場合、新卒からいきなりフリーランスを選ぶ人はゼロではないものの、学生時代から高い経験値を持っている人でないかぎり、あまり一般的ではありません。

いつかは独立したいと考える人も焦らずに、SEやSESエンジニアとしてある程度勤務し、知識と経験を積んだ上で自信が出てきてからの独立でも遅くはないでしょう。

【ITエンジニアの働き方】自分にフィットした働き方を見極めよう!

それぞれにメリット、デメリットはありますが、エンジニアは非常にやりがいのある職種の一つです。

しかし、ただ闇雲に「エンジニアになりたい!」と目指すのではなく、自分はどういう時に達成感、もしくは負荷を感じるのかも考慮して、「エンジニアとしてどういう働き方を選ぶか」までを考えてみたいですね。

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ぜひこのコラムを参考に、エンジニアへの夢を具体的に考えてみてはいかがでしょうか。

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