【コラム】転職と地域格差〜地方・都心どちらで働く?〜
求人案件で注目すべきは仕事内容や年収ですが、それよりも気になるのが『勤務地』。
勤務地によっては、引っ越しが伴う可能性も出て来ます。
地方出身の方は特に大きな問題ですよね。
「地方で働くか、都心で働くか?」
今回は、地方≒地元と定義し、この2つの違いを色々比較してみます。
地方と都心の『給与面』の違い
地方と都心の大きな違いは、まず給与面です。
地方に比較し、都心の方が給与は高い傾向にあります。
平成27年度の一人当たりの県民所得は、東京都が1位(537.8万円)、次いで愛知県が2位(367.7万円)となっており、2位に100万円以上の差をつけています。
全国平均の319.0万円を見ても、東京の給与は突出しています。
また、最低賃金についても東京は全国1位。
東京は1,013円と、全国平均の901円を100円以上上回っています。
ちなみに全国の最低額は沖縄、青森などの790円。東京と大きな差がありますね。
(これらの最低賃金は令和元年10月初旬より施行される予定です。)
繰り返しになりますが、データを見ても分かるように、都心は地方都市に比較し給与が高い傾向にあります。
ただし都心は家賃や土地、物価も高いので、都心で働くことが必ずしも裕福になれるかというと、そうではありません。
しかし、やりくりをうまくすることで、十分な蓄えをすることも可能です。
加えて都心には、多くの『選択肢』が多くあります。
次の項で、詳しく見ていきましょう。
都心の選択肢の多さ〜応募職種や利便性、ライフスタイルまで〜
地方と都心では、選択肢の数が異なります。
例えば、職種。
どんなことをして働くか、より多くの選択肢の中から選べるのは都心の魅力です。
都心には人が集中するため、モノやサービスも潤沢です。
モノやサービスが潤沢にあるということは、それだけ企業が多い…つまり、働く場所やポジションも多くあるということです。
中小企業やベンチャー企業はもちろん、大手企業も本社か中枢にあたる大きな支社が東京に所在しています。
一方、地方では企業の数も限られており、大手企業であっても地方支社であることがほとんどです。
職種も営業職や事務職、製造業などが多く、ITなどはまだまだ発展途上とも言えます。
採用も「地域限定社員」(条件付きのエリア正社員)となる場合もあります。
もう一つの選択肢は、利便性。
ライフスタイルに大きく関係してくる部分です。
都心であれば、一つのことを実行するにも、何通りもの手段で行うことができます。
都心は交通網や物流が発達しており、どこかに行くにも、何かを取り寄せるにも、複数の手段から選ぶことが可能です。
また住居に関しても、家を建てる・賃貸・シェアハウスなど多種多様な選択肢があります。
都心は人の数だけ価値観も多様な傾向にあるため、そこに入り込もうとするモノやサービスがすぐにニーズを汲み取って作られます。
インターネットが発達した現代ではあまり問題ないと思う方もいるかもしれませんが、多種多様な価値観やモノ、サービスを肌で感じることができるのは都心ならではでしょう。
都心に人が集まる限り、こうした地方との差はますます開いていくと思われます。
対して地方は、利便性も都心にやや劣ります。
車への依存度が高い地域も多く、都心に比較すると交通網や物流もまだまだ未発展です。
住居も都心のような選択肢は少なく、ライフスタイルも限定的です。
地方ではある程度の年齢になったら結婚し家を建てるというパターンが多く見受けられます。
働く若い人は都会に流出し高齢化が進んでいるため、昔ながらのライフスタイルが根強く残っているのかもしれません。
地方都市の『利便性』と『価値観』は密接な関係にあると言っても過言ではありません。
こうした地方のテンプレート化したライフスタイルが窮屈に感じる人もおり、都心へ移り住む人もいます。
少し不便だけど、それに合わせて生きて行く。
地方で働く・生きていくには、このような覚悟もある程度必要です。
地元で働く安心感
都心で働くことの良さは多くありますが、地方で働く・生きていくメリットもあります。
地域貢献ができる
地方企業への就職(転職)は、地域の活性化に貢献できるというメリットがあります。
その土地で働くというだけで地域の経済を回すことになりますが、地方企業の場合それが目に見えてわかりやすいです。
というのも、地方企業はその土地への愛着が強い・活性化に積極的な傾向にあるため、地域貢献の実感が得られやすいのです。
モチベーションにも繋がり、仕事にも地域にも一層愛着がわいてくるでしょう。
大手企業の場合、本社と似た待遇が期待できる
例えば地方企業でも、本社が東京にあるなど大手企業の場合、各種手当・福利厚生などは本社と同等の待遇が期待できます。
給与面は異なる(その土地の平均に準ずる)場合が多いようですが、手当や福利厚生があると、特に家族がいる場合恩恵を強く感じられるでしょう。
地方(地元)で働きながら本社同様の手厚いフォローが期待できるというのも、一つのメリットです。
家族・友人の近くで暮らせる
地方(地元)で働くことは、家族のそばで過ごせるということにもつながります。
何かあってすぐ駆けつけたい時、少しだけ実家に帰りたい時…
そんな時も地方(地元)での就職なら、すぐに実家に帰ることができるので、安心です。
少しの間子どものお世話を頼みたい時にも親を頼れますし、反対に親からの頼まれごとを引き受けたり…。
地元に残った友達とも、都合さえ合えばすぐに集まることができます。
地域でコミュニティをなし、お互い助け合って賑やかに過ごすことができるのも、地方(地元)で働くメリットです。
土地勘があるため、地理把握しやすい
地元の場合、交通の便もある程度は把握できているでしょう。車での移動時間、列車の間隔・天候による運行の有無など…。
地方によって交通や道路には特徴がありますが、土地勘があれば地理把握も簡単です。
営業の求人などでは実際に「営業エリアの土地勘がある人」を条件にしている場合もあります。
まとめ
これまで見てきたように、地方・都心、どちらで働くにもそれぞれの魅力があります。
しかし、地方と都心のいいとこ取りのような「給与が高くて便利で物価は安くて、家族も身近にいる土地」など全ての希望を叶えてくれる土地というのはほとんどありません。
自分に必要な要素が何かをしっかりと見極める必要があります。
勤務地選びで迷っている人は、色々な条件を加味して、ぜひ一度熟考してみてください。