MAPグループは、20~30代の転職希望者男女に対して「安定した仕事に関する意識調査」を実施し、結果をまとめました。


【調査結果概要】

1)求職者の9割以上が「安定した仕事」への転職を希望

2)有名企業・大企業などを希望する「大手志向」は少ない

3)安定した仕事に就くための行動「何もしていない」がトップ



1)求職者の9割以上が「安定した仕事」への転職を希望 


「安定した仕事(働き方)」をしたいと思いますか?と質問したところ、「かなり思う」、「どちらかといえば思う」と回答した人の割合は全体の96.1%にのぼり、「思わない」と答えた人はわずか1.6%でした。企業に属さず働くフリーランスや副業人材の増加、パラレルキャリア構築意識の高まりなど、働き方の多様化が進んでいますが、転職活動中の若手は依然として「安定した仕事」を求める傾向が強いことが伺えます。回答者の中には「フリーターだった為コロナで解雇されてしまい、正社員の職につきたくなった」(25歳・女性)など、新型コロナウイルスの影響で転職せざるを得ない人もおり、職を失った経験から安定を求める気持ちが強まったという意見も見られました。

2)有名企業・大企業などを希望する「大手志向」は少ない



「安定した仕事」に持つイメージは人によって異なります。具体的にどのような要素を「安定した仕事」と考えるのかを質問したところ「福利厚生・社内制度が整っていること」と回答した人が64.5%と最も多く、「正社員(正規雇用)である」62%、「給与や賞与の水準が高い」48.6%の順に多くなっています。待遇や環境面に注目する声が多い一方で「業界最大手・上場企業他の有名企業」と答えた人は9%「会社に歴史がある」3.1%、「社員数が多い企業」2.7%と、企業の知名度や規模にこだわる「大手志向」の人はわずかでした。また女性の46.1%が「結婚・出産を経ても働き続けられる」と回答したのに対し、男性ではわずか6.6%という結果に。長期的なキャリア形成を見据えたものとなる若手の転職活動では、ライフイベントの影響を受けやすい女性のほうがより「長く働き続けられる仕事(会社)」に安定を見出している様子が伺えます。

 

3)安定した仕事に就くための行動「何もしていない」がトップ

「安定した仕事に就くために何か行動していますか?」という質問に対しては32.5%の人が「企業/業界研究などの情報収集」と答えたものの、最も多い回答は「特に何もしていない」34.1%でした。何もしていないと回答した人の中には「IT業界に興味がありますが、何から手をつければいいのかわからず、何もしていません」(27歳・男性)といった意見も。安定した働き方を強く望んでいながら、実現するための具体的な方法がわからず、行動に移せずにいる様子が伺えます。


総括「若手人材不足は依然として変わらず、社会全体で問題解決を」

MAPグループが実施した2019年の調査では、転職理由として「やりたい仕事がある」をあげる若者が多く見られました(*1)。しかし2021年は「現職の給与に不満」「会社の将来に不安がある」というネガティブな要因で転職する人が増加しており、コロナ不況に起因する意識の変化が伺えます。
調査結果が示す通り、安定した仕事を求めるものの具体的な方法が分からず行動に移せない若者は多く存在します。コロナ関連失業者数は増加の一途を辿っていますが、未経験可の正社員求人は減少しており、失業者の早期キャリアチェンジは難しいのが現状です。このような状況下に安定した職が得られないことを「自己責任」として片づけるのではなく、企業が率先してスキルアップの機会作りや育成体制の整備を進め、社会全体で失業者支援と未来を担う若手人材の育成に取り組みたいものです。
コロナ不況による一時的な採用縮小の傾向はあるものの、中小企業の慢性的な人手不足に変わりはありません。今後の要員計画には、事業フェーズに応じたワークシェアリングや複業人材の活用など、柔軟な対応も必要になるでしょう。
(コロナ関連失業者支援事業「安定のお仕事」担当:北村 敏爵)

 

●参考資料
(*1)20代の転職意識 仕事に求めるのは「条件・待遇」よりも「やりがい・面白さ」(2019年調査)
https://map-on.co.jp/2940

転職希望者の約6割が「転職決意にコロナが影響」と回答 会社の危機管理体制に失望の声も(2020年調査)

https://map-on.co.jp/5869

 

●調査内容       キャリア面談事前アンケート
●調査対象  MAPグループ転職支援サービス登録者の20〜34歳
●有効回答数   575名(男性 196名 女性 379名)
●調査方法    面談時にアンケートフォームへの入力方式で実施(設問1、2は複数選択可)
●調査期間    2021年1月26日〜3月9日

※本調査データを転載・引用する場合は(出典:株式会社MAP)の表記をお願いします。