コロナ禍で職を失った人のスキル取得と転職をサポートする完全無料のビジネススクール「デジタル能力開発センター」担当者・田中亮多さんインタビュー。後編となる今回は、スクール運営をサポートするスポンサー企業側のメリットや、今後目指したい支援のかたちについて聞きました。

完全無料のビジネススクール、スポンサー企業のメリットは

デジタル能力開発センターは、スポンサー企業の協力により運営費をまかなっていることから、受講者に対し高品質なカリキュラムを無料で提供できる仕組みです。

無料でスキルアップできる受講者はもちろんのこと、スポンサー企業側のメリットも存在します。

スポンサー協力を依頼するのは主に、ポテンシャルのある若手人材を多数採用したいと考えている企業。当センターのスポンサー企業になると、カリキュラムを受講している求職者に対し、受講期間中から「スカウト」という形でアプローチすることができるのです。

また、スポンサー企業には、受講者のカリキュラム習熟度や課題への取り組み姿勢などをデータ化し、個人情報を伏せた状態で開示します。このデータ共有によって、スポンサー企業は受講者の中から入社後の活躍が期待できる人材をスカウトでき、受講修了後すぐに採用できるという点が大きなメリットです。

従来の中途採用の手順では、求職者が持っている潜在的な能力や強み、課題や業務に対するコミットメント力などを、企業側がうかがい知ることはできず、どうしても学歴や職歴などの書類頼みになりがちでした。しかし、15日間という限られた時間でのスキル習熟度を可視化できる当センターの仕組みを活用すれば、書類だけではわからない個々のポテンシャルを知ることができます。

業務適性があり、入社後の活躍や伸びしろに期待できる人材を、15日間のカリキュラムへの取り組み状況から見極められる。いわば、新卒採用さながらの「青田買い」が可能になるのです。

もともと弊社・MAPは人材紹介会社。企業と求職者の質の高いマッチングには自信がありますし、積み重ねてきた実績もあります。受講後に希望職種への転職支援をサポートするプログラミングスクールなども増加傾向にありますが「人材紹介会社が運営する完全無料のビジネススクール」という点で、他スクールとの差別化も図れると考えています。

最終的な受講人数とのバランスにもよりますが、今のところ5~10社限定でスポンサー企業を募る予定です。

経歴はなくても、活躍する人材はいる

ファーストキャリア構築支援事業「WORX(ワークス)」のコンセプトが新事業のベースに

履歴書や職務経歴書だけではわからない、能力や資質を定量化・可視化することで、経歴に自信がない人たちの転職を支援したい。これも「過去や背景にとらわれない。誰もが挑戦できる社会を」というWORX(ワークス)のコンセプトに通じる考え方です。

一般的な就職活動では書類選考を通過しにくい経歴であっても、入社後に活躍している人はたくさんいます。実際、IT業界未経験で入社したWORXメンバーが、インフラエンジニアとして早期活躍している例もあります。

このメンバーはIT業界どころか、アルバイト経験すらありませんでしたし、コミュニケーション能力が特別高いわけでもありませんでした。しかし、物事の理解度が早く、理系の思考回路を持っていることが、研修への取り組みでわかり「エンジニア適正あり」と見ていました。結果、通常なら6ヵ月かかる現場研修をたった3ヵ月で修了し、想定以上のスピードで戦力化。現在も活躍中です。

当センターでの15日間の集中講座期間中、どのような姿勢でカリキュラムに取り組んだか。課題にどれくらい本気で挑み、短期間で新しい知識をいかに吸収したか。これらを数値化したデータは、学歴や経歴よりも、求職者のポテンシャルを図る正確な材料になりうるのではないでしょうか。本来の若手人材採用とは、これまでの実績ではなく、入社後活躍の可能性のほうを重視すべきですから。

逆に考えると「無料だから、試しにちょっとやってみようかな」という軽い姿勢で受講する人にとっては、当センターのカリキュラムは厳しいものになるかもしれません。15日間で5スキル1資格を身に着けるのは、容易ではないですからね。

採用活動にかかるコストと工数を軽減できる新しい仕組み

入社後の活躍が期待できる若手人材を採用できる仕組み

すでにスポンサー協力を打診している企業からは、当センターの仕組みに評価の声をいただいています。

特に通年採用が必要な企業は、多大なコストと工数を費やして採用活動をしています。当センターのスポンサーシステムを活用すれば、母集団形成が容易で採用コストの見込みが立ちやすい。また、選考中の面接キャンセルなどのロスが生じないという点も、評価ポイントとなっています。

必要な人材を確実に採用したいけれど、人材紹介会社を利用するには予算が足りない。かといって、求人広告を出しても人が集まらない。そんなジレンマを抱えている企業はたくさんあります。

当センターのスポンサー費用は、求人広告と人材紹介のちょうど中間あたりになるでしょうか。面談調整など一部業務のアウトソーシングも可能になりますので、人的リソースや予算の不足で採用活動がうまく回っていない企業には、ぜひ活用していただきたいです。

各自治体と連携し、支援の輪を広げたい

キャリアアップ支援といえば、政府が「就職氷河期世代支援プログラム」の行動計画を発表してから、まもなく1年が経過します。

これは就職氷河期世代の正規雇用者を3年間で30万人増やすことをめざし、650億円超の予算を確保するとされた計画です。実は厚労省から「WORX事業の人材育成スキームを氷河期世代支援にも活用できないか」という相談があったのですが、コロナの影響で実現は延期になってしまいました。

現在は、国や都、地方自治体が抱えている就業問題にまつわる課題解決に、当センターの仕組みやカリキュラムの活用で協力できることはないかと考え、関係各所と連携を取りながら話を進めているところです。

現時点ではカリキュラムを無料で提供できても、PC環境まで無料で提供することができず「Office搭載のPCを保持しており、オンライン講座が受講可能な通信環境が準備できる方」に限った募集になってしまいます。当センターで学びたくても、この条件を満たせない人もいるでしょう。

PCやソフトの貸与、またゆくゆく必要になるであろうオフライン研修の場所といったハード面を整えたり、多くの方に当センターの取り組みを知っていただくために、一民間企業でできることには残念ながら限りがある。もっと大きなフィールドでこの支援事業を展開するためには、国や地域との連携が必要です。行政と協力し合えれば、受講資格の緩和も可能になり、より多くの方を支援することができると考えています。

スポンサー側のニーズ、受講者の熱量…わからないことはまだまだある

当センターの運営開発は主にWORX事業部のメンバーが担当しており、通常業務と兼務しながら新規事業の準備を進めている状態です。正直、リソース不足は否めません。私自身、頭の中にあるアイデアを形にしたり、サービスの強みを言語化したりする作業には、今でも苦心しています。

こんな状態ですから当然、運営に関しても、スタートしてみなければわからないことはまだまだあると思っています。

例えば、スポンサー側のニーズがどれくらいあるのか、という点。若手人材を安定して採用できるシステムとスポンサーフィーのバランスにメリットを感じていただける企業が、果たしてどれくらい存在するのかわかりません。

また、提供予定のカリキュラムはWORXの研修でも活用しており、一般的な合格率が50%程度のIT関連資格試験において、WORXメンバーの合格率80%以上を叩き出した、実績のある確かな内容です。しかし、社員研修と外部の受講者向けの講座では勝手が異なりますし、一般受講者が「無料の講座」に対してどれくらいの熱量で取り組めるものかもわかりません。15日間という限られた期間でMOS資格の取得へ導き、転職に値するスキルを身につけていただくというミッションは、講師にとってもかなり難易度の高いものだと思っています。

しかし、完全な形に整えるための準備ばかりしていたら、失業者を取り巻く環境はさらに悪化してしまう。無料のビジネススクールは「走りながら考え、同時に作る」くらいのスピード感でやり遂げるべき事業であると、私たちは考えています。

困難な状況でも、あきらめる必要はないと伝えたい

スポンサー企業へ人材を紹介する仕組みとの兼ね合いもあって、当面は失業中や離職予定の方のみが受講対象となります。しかし、ゆくゆくは受講資格を緩和し、支援の幅を広げたい。在職中の方や学生、新卒者への就職支援にもつなげられたらいいですね。

私自身、幼少時から国の指定難病を抱えており、体調が原因で前職を辞した経験があります。

病気などのハンディキャップがあったり、社会情勢や家庭環境など、自身の責任の範疇外の要因で就業が困難な方の仕事探しや、キャリアアップを幅広く支援する。当センターには、そんな可能性があると思っています。

前職を離職し、入院していた頃

まずはデジタル能力開発センター受講者数千人を目指し、この先あらゆるフィールドで活躍する人を輩出したい。それが当面の目標です。

コロナの影響で失業した人だけでなく、やりたいことがあるけれど、何かを理由にあきらめてしまっている人に「あきらめる必要はないですよ」と伝えたい。飲食のアルバイト経験しかない、PCをまともに触ったことがないからオフィスワークへの転職はムリ、なんて、決めつける必要はありません。

当センターでの学びを、今後前進するきっかけにしていただけたらうれしいですね。

デジタル能力開発センター・オンライン無料体験会

デジタル能力開発支援センターでは11月の開校に先立ち、10月より「受講希望者向け無料体験会」を実施します。(参加には事前申し込みが必要です)

開催日時

  1. 10月13日(火)13:00-14:00 
  2. 10月14日(水)10:00-11:00 
  3. 10月15日(木)13:00-14:00 
  4. 10月20日(火)13:00-14:00 
  5. 10月21日(水)13:00-14:00 
  6. 10月22日(木)10:00-11:00 
  7. 10月27日(火)13:00-14:00
    ※体験会は11月以降も随時実施予定です

体験会内容  (所要時間1時間)

  • デジタル能力開発センター概要説明
  • Excel操作ミニ講座
  • 受講イメージ、カリキュラム概要説明
  • 受講申し込み手順説明   など

参加資格

  • 18歳~29歳の男女で技術習得、就職意欲がある方
  • 現在離職中(または離職予定)の方で、受講修了後の就職が可能な方
  • 弊社紹介企業の面接に参加できる方
  • Office搭載PC(Windows推奨)の準備が可能な方
  • 安定したネット環境の準備が可能な方
    ※学歴、就業経験不問

事前体験会参加方法

ウェブサイトの申し込みフォームより事前予約が必要(参加費無料)
申し込みフォームURL:https://map-on.co.jp/digital-center

転職に役立つPCスキルが無料で学べるオンラインスクール

「デジタル能力開発センター」は、これまで仕事でPCを使ったことがないPC初心者の方のための、ビジネススクールです。

15日間の集中受講でPC基本操作から、MOSの資格講座まで、充実のカリキュラムがすべて無料。オフィスワークで求められる電話応対やメール作成、コミュニケーションのポイントなど、基本的なビジネススキルやマナーも同時に学べて、講座修了後には転職サポートも受けられます。